さとうみどりのイラストレーター物語

VOL.9・・・2002.12.22


“なんとなく面白そう“で会社起こしははじまった。これから何が起こるのかすごくわくわくしていた。しかし会社にしなければいけない意味はその時点ではまったくわかっていなかった。ましてイラストレーターのわたしが・・・。イラストの仕事をメインに活躍しよう!もちろん子育てもちゃんとしながら女性らしい働き方をしながら。
ひとりよりはふたり。キャッチフレーズは“ひとりひとりは弱いけど集まればパワーになる”私たちの興した会社は女性たちをネットワークして色んな方の長所を貸していただこう!
妻・母であるがため社会参加がなかなか出来ないことにいらだつ昔の私のように悶々としてる女性がいるんじゃないだろうか。いや絶対いるはずだ。女性は結婚して子供を生んで育てるという仕事に戸惑う時期が必ずある。子育てが少し落ち着くと急に取り残されてる気がしてさびしさに襲われる。

どういう風に社会に参加すればいいのか、子育てだけで、自分の存在はどこにあるのか迷いがおきる。
22歳の若さで子供を生んだ私は、周りの友達たちがいきいき働いてる姿をうらやましく思う時期があった。子供が2歳くらいになるともう一度働きたいと思っていたがなんにも特技があるわけではなかった。だからこそ特技を身につけたいと躍起になっていたのだ。
その後、離婚という結末でその特技を身につけたいと思ってたことが身につけなきゃ生きていけない!に変わり切羽詰らされた私は、そう思えばラッキーだったのかもしれない。私たちの会社はそんな女性たちを応援することを決めた。
女性たちが独身時代に培った能力を登録して頂き、わずかな時間でも何か社会に関わりたい人のために仕事をパーツで依頼し何人もの協力でひとつの仕事を完成させる形をとろうと思った。

色々な地方での事例も調べ、すでにやってる人たちがどんな風にしてるのか研究してみた。
ハーストーリィ名刺
ひとつの仕事をそううまく、何人もの女性に関わらせるということが出来るかどうかはやってみないとわからなかった。にわとりが先か卵が先かではないけれど、まずはふたりでフリーペーパーを作って、登録してくれる人がいるかどうか試してみることにした。
もちろんそのビジュアルは私の役目。今のようにコンピューターなどない時代だ。(あってもうまく使いこなせないけど)デザインもやったことがない私は、今まで依頼があって言われるままに描いてたイラストの仕事と違い、自分達の考えをうまくビジュアルに表現しなくてはいけないのだ!そして読んでいただく人にちゃんと伝わるということが鉄則だ。結構この作業が私にはとても面白いものになった。

次に、仕事を得るために企業用に私たちの思いを形にしたものを作るべきと、資本金に用意したお金で名刺・はがき・会社案内を作ることに。これもまた存分にイラストを使った。思い浮かんだキャッチフレーズに似合う女性3人のイラストをロゴに沿え、はがきや会社案内には颯爽と歩く女性の姿を描いた。
会社の名前もさんざん悩んだあげく相棒の日野が海外の女性に考えてもらった『HER STORY』とした。会社らしくない名前だけどなぜだか二人とも、とても気に入った。
なんでもその名前には「HISTORY」の女性版の意味があると聞いた。「His−Story」を縮めて「History」“歴史”という言葉ができたらしい。ならば女性の歴史を「HERSTORY」としようと考えた。すぐにお金にはならないが、今まで依頼されて描いてきた仕事とは違い自分たちの思いをビジュアルに起こすことが当面の私の仕事になった。
まだこの選んだ道がイラストレーターを目指すわたしにとって、どう関係してくるのかなんてぜんぜんわかっていないまま、とりあえずビジョンは決めた。


さとうみどりのイラストレーター物語・・・VOL.8
さとうみどりのイラストレーター物語
さとうみどりのイラストレーター物語・・・VOL.10





株式会社ハー・ストーリィ
イラストレーター・さとうみどり

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