さとうみどりのイラストレーター物語

VOL.8・・・2002.08.21


さとう手書きHERSTORY第一号編集のフリーペーパー

ハーストーリィ通信
さとう手書き
HERSTORY第一号編集のフリーペーパー
イラストレーターになりたい私がひょんなことから会社を興すことになった。パートで勤めていたその会社を同僚の日野がやめたことで、私も会社をやめた。
社長と二人になり企画が出来なくては、いても意味がなくなったことや夢の方向と違ってきたこと等がその理由だった。それはそれで存分にイラストだけ描ける日々になるなと新たな決意をした矢先、同僚日野が会社を創らないかという。何が出来るかもわからないし、ましてやイラストレーターを目指す私にとってそれが何の意味ももたないことだと最初は思った。
日野は“今までにない女性が働きやすい会社にする”とか“いろんなクリエーターの人とも交流ができる”とか毎日のように電話をかけてきていた。最初は聞き流してた私も毎日のその電話のやり取りで、いつしか“今までの広島にはない女性が働きやすい会社で自分達の作るフリーペーパーを発行する!”イメージを勝手に膨らませとうとうその誘いの言葉にのってしまった。
どうやら自分はそうとうお祭り好きらしいなと思った。
しかしすごく軽い気持ちで、自宅以外に自分の作業場(アトリエ)が増えたというノリにすぎなかった。
会社をやると決めてからすぐに二人で物件を見に行った。最初はどちらかの自宅に専用電話を引いての起業にしようかと話してたけれど、結局マンションを借りることにした。
何軒も物件を見て回った。そうそう自分たちの条件にかなうところはない。まず軍資金がなかった。その次に主婦二人ということがネックになった。世の中は女性の会社に冷たいようだった。最後にはコピーライターとイラストレーターの共同作業場ということで物件を借りた。
その日からワンルーム7畳ほどのフローリング、家賃35,000円が私たちのお城になった。なぜだかわからないけどすごく嬉しかった。夫や子供とは別の私たちだけの空間、初めて自分の部屋を持てた喜びだった。
なけなしのお金でせっせとお部屋の必需品選びをしたり、コピー機や電話を引いたり、Woodで特注の机を作ったり、あっという間にふたりはいればいっぱいのかわいいオフィスになった。
会社の登記をするための準備に1ヶ月くらい追われた。仕事はなかったけど、これから何かはじまる期待感で毎日がわくわくしてた。
自分たちだけのその空間で何がしたいか、これから何をやっていくか登記の為もあり、話し合った。
会社経営の知識は初めてでわけのわからない私だが“やりたい事”だけは明確だった。
私のしたいこと、イラストを絡めた広告の仕事、雑貨屋(当時憧れのイラストレーター大橋歩が自分の雑貨を取り扱う店を開いてて子供商品等扱ってた)、自分の絵のキャラクター商材、そしてイベント、始まったばかりで二人しかいない会社の登記簿にこれからするべき事業内容を連ねてもらった。
暑い暑い夏の終わり1990年8月20日に私たちの会社「HER STORY」ははじまった。
この会社興しの選択がイラストレーターになりたい私の道に必要なのかどうなのかもわからぬまま。


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株式会社ハー・ストーリィ
イラストレーター・さとうみどり

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