さとうみどりのイラストレーター物語

VOL.10・・・2003.04.01
手書きをふんだんに使った一番最初の会社案内
イラストが描きたい私がちゃんと会社を経営していけるのかまるで疑問だらけだけど始まったのだ。
名刺・はがき・会社案内を資本金の少ない現金のなかから一通り制作した。
本当に会社が始まってしまったという感じだ。
「知り合いにはがきを出して、会社案内も配ろう!まずは以前勤めていた会社のクライアントのところに出かけましょ」日野は持っていた名刺ホルダーをぱらぱらめくりながら営業の候補先を次々と決めていく。タウン誌の編集長をしていたこともあってかなりの営業先候補を挙げた。
一言メッセージを添え封筒に表書きをしていく。名刺も持ったことのない私と来たら前職の経験はひとつも生かせるはずもなく何の助けにもならなかった。それどころか今回の会社設立で名刺を持てた喜びのほうが大きかった。
二つ折りでイラスト入りの名刺はインパクトもあり素敵だった。肩書きも“ イラストレーター”と“副代表”を並べた。たった2人だけの会社だけど名刺をもてたことがとっても嬉しかった。それ以来12年間、私の名刺の肩書きは2つ並べている。
さて、はがきを渡されたものの出す先のない私はもっぱら日野の手伝い。封入作業や宛名書きを足手まといにならないよう一生懸命傍らで行うことに。「会社宛に出す手紙は「様」ではなく「御中」なのよ。全部やり直しじゃない。」まともな字も書けず、OL経験もないから社会常識は身についてない、何をするにも日野に注意される始末。そんな私をみてきっと日野は後悔してるに違いない。なんとか封筒の表書きくらいはと独特の筆文字を考え、まともな字が書けないことを個性にした。いまでこそあたたかい、個性的だとお褒めを頂く書文字ですがコンプレックスの裏返しで生まれたものなのです。
OL経験もないわけですからワープロも打てない、考えてみれば何も資格をもっていない。こんな私が会社を始めていくなんて前途多難。営業も出来ないうえ事務処理も出来ない!・・・こんたことで落ち込んではいられない。もうこうなればすべて手書きです。
いろんな主婦の方々をこれから登録させていくのに必要な「ウーマンズ能力登録用紙」も開き直って手書きのものにした。ここまでやれば案外すごいのかもしれない。

“一度に何もかも変えようとしなくていいのです。ちゃんと良くなっているのだから・・・・“
やる気がふくらむ言葉―中山庸子の本より


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イラストレーター・さとうみどり

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