何もない広島の一主婦が東京の出版社にイラストを送った。
まさか返事など期待してなかった。仕事こそこなかったが妙な達成感があった。
すごい遠い存在だった全国誌だ。
私のイラストがもしこの本にのったら・・・
堂々と名刺にイラストレーターって肩書きで入れられる!
空想の世界にひとり入っていた。
今回返事がきたことであきらめず発信すれば
なんらかの答えが帰ってくるんだって事を知った。
今回のことはすごいできごとだった。「やっぱり描こう!」
へたくそイラストレーターの初めの1歩がはじまった。
食費の一部を公募ガイドや送るための郵送費、材料費にあてることにした。
一方、広島での売り込みも続けた。
姉のデザイン会社からコンペに出さないかって誘いを受けた。
読売新聞が出している小冊子の表紙イラストだった。
「万人に受けるイラストで季節感を感じる風景画を毎月パステルで描く」
という依頼だ。イラストの発注は、嬉しいけどとても苦しい、
構図の難しさ、表現できないプレッシャーを感じる。
出して2週間くらいあとだったろうか、それはそれは長い2週間。
身内だからか実力だからかそれはわからないが初の仕事を頂いた。
表紙イラストレギュラー¥50,000の仕事だった。
何もなかった専業主婦から階段を一歩上がった気がした。
これを機会に手作りの名刺に肩書き「イラストレーター」をいれ50枚作った。
数ヶ月先にもらったお金ですぐ機能のいいファックスをローンで購入。
そして画材として必要な贅沢だけど150色のパステルのセットを
ご褒美に自分に買った。
その矢先またプレゼンだけど生協が出してる冊子の表紙の仕事が舞い込んだ。
何枚書いても納得できない。
書き直しては持って行き、そして次の日にまた書き直しては持っていく
そんな日々を繰り返しやっと仕事を頂いた。
いまでもそうだけど納得のいく絵なんてそうそう描けない
次の日に昨日書いた絵を見ると、不満だらけだ。
「よしこれで完成!」なんて満足の行く絵をいまでも思ったことはない。
何枚も何枚も納期がくるまで同じテーマの絵を描く。
そのなかで一番いいものを出す。でもまだまだ違うって思ってしまう。
一生こんな思いで描いていくのかな?
ちまたで売れてるイラストレーターはとってもはなやか。
でももともと絵がうまいわけではなかった私にとっては
できあがりまでの辛さは計り知れなかった。
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初仕事の読売新聞の
小冊子のイラスト。
とっても力が入りすぎてて
はずかしいです。 |
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次に採用された生協のお正
月カタログのイラスト。
バックの色を出すのに何枚
も何枚も描き直したことを
よく覚えてます。
150色のパステルをかった
後の作品。
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