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2021就職氷河期世代活躍支援プロジェクト

クライアント/広島労働局

2021.7.28

7/21「“就職氷河期世代を採用する”企業応援セミナー」開催レポートvol.1

バブル崩壊後の1993年~2005年に卒業を迎え、求人倍率が著しく低い時期に就職活動に差しかかった世代を「就職氷河期世代」と呼び、今なお不安定な仕事についている人も多いといわれています。

年代でいうと35~55歳ぐらいにあたる就職氷河期世代の就職、正社員化、社会参加への実現に向け、広島労働局では、経済団体や労働団体などからなる「就職氷河期活躍支援ひろしまプラットフォーム」を昨年7月に設置しました。

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今回は同プラットフォームの事業の一環で、「“就職氷河期世代を採用する”企業応援セミナー」をオンラインで開催。

「1日100食限定」がコンセプトの飲食店「佰食屋」を展開し、ワークライフバランス、フードロスゼロを実現してきた「株式会社minitts」代表取締役の中村朱美さんに、就職氷河期世代の人材としての可能性や、これから生き残っていく企業像などについて、ご講演いただきました。

 

 

まずは中村さんから、「佰食屋」がどのようなお店で、どういった営業形態を取っているか、自己紹介を兼ねて簡単に説明。

 

「佰食屋」は名前の通り、1日100食限定で料理を提供している飲食店。メニューは3種類のみで、日々完売しています。お客様の中には、「どうせなら1000食出したらいいのに」「もっと稼げるような経営方法があるのでは」と言われることもしばしば。

 

 

しかし中村さんいわく、この「100食限定」というところに、ほかの店にはないメリットがあるのだそうです。

それは、限定数を設けることで材料の仕入れや管理が楽になり、フードロスを実現できること。

また、売り上げの数字も明確になるので、経理の手間も省けます。

今までにない経営手法が評価され、ビジネスコンテストなど多くの賞を受賞し、メディアにも多数取り上げられてきました。

 

 

中村さんが評価されているのは、その経営手腕だけではありません。シングルマザーや高齢者、障がい者など、幅広い人材を雇用し、真のダイバーシティを実現してきました。

 

 

 

もちろんその中には就職氷河期世代の人も多く、中村さんは

就職氷河期世代こそ原石かもしれない

と話します。

 

 

スタッフを採用する際に、多くの会社はコミュニケーション能力が高かったり、リーダーシップがあったり、アイデアが豊富に出せる人を積極的に採用する傾向があります。けれど中村さんはそのあたりを重視してはいないそう。いちばん大事にしているのは、「今いるスタッフたちとうまくやっていけるかどうか」

 

いろんな人たちが働く中村さんの会社では、相手の目を見て話すことが苦手だったり、口下手だったりする人も多くいます。その中に、突然スキルの高い人材が飛び込んできたらどうなるでしょう。「私が時間をかけて得たものをこの人は1日でやってしまった」「こんなに素晴らしい人が入ったなら、私はいらないかも」と、自己否定的になってしまうケースが考えられるそうです。

 

そして、逆に面接ではうまく話せなかったり、おどおどしていた人が入社し、その人らしく働いているうちにどうなっていくかというと、“強い愛社精神”を持つようになるのだそうです。「就職氷河期の人もそうですが、今まで面接や就職試験で落とされることが多かった人は、採用をすごく喜んでくれます。そして採用してくれた会社に対して、愛情をもって一生懸命働いてくれるようになるんです」

 

また、中村さんの会社ではスタッフ採用時にハローワークを活用。求職時に登録手続きが必要で、相談員を通して面接を申し込み…と、ある程度の段階を経なければならないハローワークを通して応募してくる人は「真面目で、ルールを守る人が多い」といいます。この洞察には、思わず納得してしまうものがありました。

 

 

講演はその後、「管理職世代VSデジタル世代」の話へ。

 

 

“働く価値観”について行ったインターネット調査の結果をもとに、年代別の意識の違いを説明してくれました。

就職氷河期世代は、年齢でいうと管理職世代。一方デジタル世代は、近年入社したそれよりあとの若い世代を指します。

調査結果から見えてきた大きな違いは、以下の通り。

 

<管理職世代が仕事に求めるもの>

・やりがいや達成感

・社会への貢献

・自身の成功体験

 

<デジタル世代が仕事に求めるもの>

・休暇の取りやすさ

・残業の少なさ

・生活のための収入

 

つまり、管理職世代は仕事を自分の生き甲斐のひとつと考え、デジタル世代は仕事を仕事と割り切りプライベートに重きを置いているのが見て取れます。実際若い世代は「転職ありき」で仕事をとらえている場合も多く、離職率も高いのだそうです。

 

ちなみに中村さんの会社ではもうひとつスタッフに対して大切にしていることがあり、それを

「究極の社員教育」

と呼んでいました。

 

創業時より大事にしているもののひとつが「自己決定権」

中村さんの会社では、社員が出勤と退勤時間を自由に選べ、有給休暇はもちろん、公休も面倒な申請なしに取ることができます。休みの理由は特別なものでなく「好きなアーティストのコンサートに行きたいから」「デートだから」など、なんでもOK。そもそも休みの理由を書かなくていいので、誰でも好きにお休みが取れます。

当然人がだぶつく日もでるし、逆に人が足りない日も出てきます。けれど、だぶつく日であれば普段人手がないとできない整理や掃除にあてて効率的に時間を消化、人手が足りない日は朝の時点で「今日は1日80食限定」と決めてしまい、余分なご飯を炊かないなどのフォローで通常営業を行うのだそうです。

 

ほかに中村さんが大事にしているのは、「ノルマ(売上目標)を課さないこと」

ノルマがないことでスタッフは自分の頭で考えるようになり、何より人に対して優しくなれるのだそうです。「従業員が優しくなると、店の人間関係も良くなるし、お客様に対しても親切になる。結局それで店の評判があがって、自分のところにかえってくるんですよ」と、中村さんはにっこり。

 

後半は、中村さんの会社で働いている就職氷河期世代のスタッフの様子や、セミナーに参加した人事採用担当者からの質疑応答タイムへ…

少し長くなるので、vol.2に続きます。

 

【就職氷河期世代活躍支援プロジェクト『ミライへのミチスジを描く』特設サイト】 

https://hs-plus.jp/hyoga/

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